天使の瞳

「…羽!!音羽!!」


揺すれる身体の動きであたしは目を覚ました。

いつの間に寝てしまったのかもわからないけど、熟睡してたのは事実。


「音羽、ご飯よ。ご飯」


お母さんの、まったく…って感じの声とともにため息が聞こえる。


「ほら、携帯」


続けてそう言われた途端、ビクンと身体が上がった。


「…鳴って…たの?」

「鳴って無い。落ちてたの」


そう言ったお母さんは携帯をテーブルに置いた。

今日は歩夢は居ない。お父さんも遅いと言っていた。

何でいつも居る人の人数が減ると余計に怖くなるんだろう。


テーブルに置かれたハンバーグを端で突きながら携帯の画面に刻まれていた文字を思い出していた。

そう誰かに言われたり送られたりする覚えも何もない。


恨まれているのかイジメのターゲットにされているのかも分からない。


どうして――…

何であたしなん?

何で?


食べ終わった後も、お母さんが居るこのリビングから離れる事は出来なかった。

それを不思議に思っているお母さんは何度かあたしを見た。


ごめん…今日は無理。

一人になれへん…


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