天使の瞳
怖くて怖くて仕方がなかった。
額に次々と流れ落ちる汗。
汗ばんでくる身体が凄く気持ち悪くて呼吸も激しかった。
少しづつ動き出す身体。
恐怖に満ちてしまうと声すら出なくて硬直してしまうことに寒気を感じる。
そして動き出した身体にホっとし、あたしはガクガクする足で部屋の電気を点けに行った。
まだ時刻は3時。
真夜中真っ最中。寝るにももう寝れない。
怖くて怖くて寝てしまうと殺されるんじゃないかって、変な妄想もしてしまった。
朝が来るのが凄く凄く長かった。あと3時間もすれば明るくなるのに、その3時間が自棄に長くて半日くらい経ったんじゃないかって思うくらいだった。
6時過ぎに物音が聞こえ、お母さんが起きた事に安堵のため息をついた。
汗ばんだ身体を洗い流そうと、あたしはすぐにシャワーを浴びる。
「あー。音羽おはよ」
リビングに入るとお母さんはそう言いながら朝の準備に取り掛かった。
「…うん」
「どうしたの?顔色悪いよ」
「…うん、ちょっと」
曖昧に呟いてソファーに横たわる。