天使の瞳
その行動に一息吐き、あたしは仕方なく顔を洗って適当に化粧をして服を着た。
「出来たよ」
「遅い」
タクは眉間に皺を寄せてあたしを見て煙草を咥えた。
「ちょ、タクやめて!」
「え、何で?」
「部屋臭くなるやん」
「どーせ歩夢吸っとるんやろ?アイツの所為にしときゃいいって」
「そーいう事じゃないやん」
「はいはい、音羽のオカン怒るしな」
苦笑いしながらタクは煙草を咥えたまま立ち上がり玄関に向かう。
テレビと電気を消したあたしは鞄を抱えたまま玄関に向かった。
「チャリで悪いな」
タクはサドルに跨って煙草に火を点ける。
「うん、別にいいけど」
「けどすんげぇクソ暑いぞ」
苦笑いするタクはフーッと白い煙を吐いた。
「なぁ、タクまた、海行ってたん?」
そう言いながら後ろに座りタクの服をギュっと掴んだ。
さらに焼けた肌。それほど黒いって訳じゃないけど少し焼けている気がする。