天使の瞳
「おー、行ったで。音羽もまた行く?」
「ええわ。焼けたくない」
「お前、ほんま海嫌いやな」
「嫌いって言うか焼けたくないねん」
「つかお前、今だって焼けてんで」
ガンガンと照りつけている太陽。
空気すら暑くて地面からはジワジワと暑さが込み上げてくる。
その眩しい一面を、あたしは胸元に掛けていたサングラスで遮った。
「焼けるけど、海水のほうが凄いもん」
「まぁ、な」
「なぁ、何処いくん?」
「音羽行きたい所ある?」
「別にない」
「お前って素っ気ないなぁ…男出来たら嫌がられるタイプやな」
そう言ってタクは声に出して笑う。
「別にいいもん。面倒くさいわ、彼氏なんて」
「ふーん、そうなんや」
「タク、もう次の女出来たん?」
「はっ、出来るか!出来とったらお前とおらんわ」
「あぁ、そうか」
納得してしまった。
なんだかんだ言って、タクは女が出来るとあたしを誘わない。それは彼女に対して申し訳ない気持ちがあるから。
こんな男でも、意外だ。
でも、女つくりすぎ…