天使の瞳
「何しとんねん、お前!!」
タクが張り上げた声で、周りに居た人たちの視線があたし達に向かう。
「どーしたん、タク?」
「どーしたん違うやろーが!!何で行くねん!!」
「何でって、青やからに決まってるやん」
「何でやねん!!赤やろーが!!」
思わずドクンと波打った心臓。
恐る恐る視線を信号に向けると真っ赤な赤が目に入った。
「…何で?」
「お前、死ぬ気か…」
深いため息を吐き捨てたタク。
目の前にはまだ勢いよく走って行く車。
大通りやから行き交う車も半端じゃない。
「だって…青になったやん」
「は?」
「青!!さっき青になったやん」
「赤になったんやろ?」
「違うって、赤になってから青になったやん」
「はぁ!?お前、何言うとん?赤になってからまだ変わってへん」
「嘘やん…」
だって、あたしちゃんと確認したもん。
青になったって、ちゃんと確認したもん。
なのに何でなん?