天使の瞳

あれだけ晴れ間は続いていたのに今日は雨。

降りしきる雨の音が家の中にいても分かるくらい。


その雨の所為で中止になった。


正直言って、別にどうでもよかった。昼過ぎにタクから電話がきて「今日はなし」って言われたけど、残念なんて思わなかった。

なんとなく…って感じで、それに千穂も行くから行こっか…的な感じで行くつもりだったから別に何も思わなかった。


そんな降りしきる雨の日、あたしはただソファーに寝転がってテレビを見てた。

見てたって言うよりも、ただ勝手についているって感じ。


別に見たい番組も何もなかったし、テレビの音が流れてるってだけで、ホッとしたからそんな感じ。


夜、7時を過ぎても歩夢は帰ってこなかった。

7時って言っても、まだこんな時間なんだろうけど、あたしにとったら、もう7時なのにって感じ。


運悪くお母さんも遅くなるって言ってたし、お父さんはいつもごとく遅い。


雨の音がだんだん強くなってきて、なんだか心細くなってきた。


夜になるともう、ソファーから動きたくなくなる。むやみにって言うか、動きたくない。意味もなくチャンネルを回し、どうでもいいような番組をひたすら見てた。

夜8時を過ぎた時だった。家の電話が鳴り響いて、多分お母さんだろうと思って何も相手の番号も見ずに電話を出た。


「…もしもし」

「……」

「もしもし?」

「……」


何の応答もなしに切れる電話。ツーツーと鳴り続けるその音にあたしは首を傾げて受話器を置いた。


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