天使の瞳

そして続けて鳴るあたしの携帯。

直ぐに切れたからメールだろうと思い、何気にメールボックスを開いた。


…その瞬間。


ドクんと高鳴るあたしの心臓。

ガンっ!!と音を立てて壁にぶち当たる携帯。


小刻みに震えてくる手と足が一気に冷たくなって止まらなかった。


画面いっぱいに埋め尽くされた“殺す”と言う文字。

真っ赤に書かれたその文字の画面には血が飛び散っていた。


あたしは震える手を我慢しながら電話機へと駆け寄った。さっき掛って来た番号を調べる為に着信歴を見る。


「…あれ…何で?…何で?」


震える声を出しながら一番上の番号を確認した。

でも、だけど…番号なんて何も映し出されていなかった。


ちゃんと日付けも時間も乗ってるのに、相手の番号だけが何も載っていなかった。


思わずバッと顔を上げて辺りを見渡した。何も変わってないその部屋。テーブルに置かれているリモコンを素早く掴み、あたしは音量を上げた。

上げた…上げたんだけど、何も大きくならない。


何度も何度も連打をして押してんだけど、大きくなる一方、小さくなっていく様に感じた。

ちゃんと、+のほうを押してんのに何も大きくなんない。幻覚か何だか知んないけど幻聴なんて何も聞きたくない。


「何で?何で?何で?」


焦る気持ちと共に額から汗が滑り落ちる。…と同時にバチン…と音を立てて消えた電気に悲鳴を上げた。
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