天使の瞳

その後、タクと晃くんが顔を出した。

千穂を交えて3人が居る前で、あたしは少しずつ出来ごとを話した。


全ての幻覚。見えないものがみえてしまう恐怖感。

タクと晃くんと千穂は、このありえない話を聞いてた。信じてるのかどうかは分かんないけど聞いてた。



それから2日後に退院した。

医師からの診断は疲労と過労。


まともに食事もしてなかったから貧血気味で顔色も悪かったらしい。


まだ痛む肩。重く圧し掛かったみたいに感じる肩。

その所為で頭痛も増える一方。それに加えて襲ってくる胃のムカツキ。気持ち悪くて気持ち悪くて吐き気がする。

食べ物を食べると吐きそうで、気分が悪い。


タクと晃くんと千穂はあたしを気遣ってか、マメに家に来るようになった。そんな日が2週間も続いて、千穂が気分転換と言って誘ってきて連れられて来た場所がバーベキューだった。

まだお昼真っ最中。

ガンガンと太陽が眩しく肌を傷めつける時間。

でも、その周りの風景をただあたしは椅子に座って眺めているだけだった。


周りには綺麗な木がいっぱい立っていてその横には川。遠くの方で子供が無邪気に楽しそうに遊んでいる姿が新鮮に思う。

何組かの親子連れに学生の集まり。人が賑わうこの場所で、あたしはただボーっと景色を眺めてた。


直火(じかび)で焼いた肉の匂いがたちこめる。

千穂にタク、晃くんに先輩達。


数回あった顔ぶれがズラリと並んでる。




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