天使の瞳
変な空気をあたしは何度も消す様に否定しまくった。
とりあえず分かってくれた事に安堵のため息を吐き出し、あたしは近くの自動販売機まで足を進めた。
ペットボトルに入っているポカリ。
ガタンと落ちて来たそのキャップを外し、あたしはゴクゴクと口に含んだ。
でも、食べてない所為か胸がムカムカする。そんな気持ち悪い胸元をあたしは何度か擦った。
「…なぁ、音羽?」
近づいてくる足音と共にタクの声が聞こえる。
振り返るとデニムのハ―フパンツのポケットに両手を突っ込んで、戸惑った表情であたしを見た。
「うん?どーしたん、タク?」
「…いや、」
「え?」
「お前、マジで妊娠なん?」
タクの口から出た言葉に思わず目を見開いた。
「え、違うって言ったやん」
「じゃあ、何で気持ち悪いん?」
「え、そんなん知らんて。この前からずっとやし」
「お前さ、誰かとヤった?」
もう一度ポカリを口に含んだ瞬間、思わず噴き出しそうになった。