天使の瞳
キャッキャッ騒いでる辺りを見ながら、ホントにあたしは来た意味があったんだろうか。とまで思ってしまった。
ただ何も食べずにボーっとするだけ。
考えない様にしてるけど、思いだす恐怖感。
「痛っ、」
小さく漏れた声。椅子の何処かで引っ掻いたんだろうか。人差し指からスーッとたれ落ちてきた赤い血。
その血を見ただけで怖くなってた。
もう、このまま死んでもいいと思った。
生きる意味すら分からない。だから、もう…
このまま消えてなくなればいいと思った。
「ちょ、音羽また切ったん!?」
人差し指を眺めてたら千穂の少し張り上げた声が聞こえた。
「あ…うん」
「うんって。音羽、ほんまよー切るなぁ…」
「うん…」
「ちょっと待って」
千穂はポケットティッシュから何枚かを引っ張りだし、血を拭きとる。
そして持っていた絆創膏で切り口を塞いだ。
「ありがと」
「いいえ」
千穂はクッと口角を上げて微笑んだ。