ましゅまろハート
彼女に逢いたい。

逢って、少しだけでも

いいから話がしたい。


はやる気持ちを抑えながら

夢中で彼女の姿を探した。


店内にいる学生に

へんな目で見られているのも

全く気付かずに、

ただただひたすら彼女を探した。


そして、

ちょうど経済学の本が並んでいる

場所で、

俺はぴたりと立ち止まった。


「……いねぇ……」


教科書販売の時に

ここで働いていた彼女が、

これだけくまなく探し回っても

全く見当たらなかった。


きっとここにくれば

逢えると思っていたのに。


俺のこの熱い想いを

どうしたらいいんだよ。


自然と俺の口から溜息が漏れる。


そして、

重くなった身体をどうにか動かし、

俺は書籍部を後にした。


もう、彼女と逢えないのかよ……。


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