奇跡事【完結】
ぐっと唇を噛み締めると、一歩前に出て何か言おうと口を開こうとした。
だけど、それをカタラが寸でで止める。
サーシャの肩を掴んでゆっくりと首を振った。
悔しそうな顔でカタラを見つめるサーシャ。
それにカタラは優しく微笑むだけだ。
サーシャはぎゅうっと拳を握り締めると、俯く。
そして、また僕達は歩きだした。
……カタラはずっとこんな視線を受けていたのだろうか。
纏わりつくような視線。
これじゃあ、この視線から逃れて独りになりたい気持ちもわかる。
それと同時に、プリルが唯一無二の存在になった理由も。
「ここだ」
村の果てにある小さな小屋。
さっきまでのレンガとかで出来た立派な家とは違う、こじんまりとした家。
その扉をカタラは躊躇なく開ける。
「入るぞ」
「カタラ!やっと来たのかい」
さっきの女の人が、カタラを見てすぐに笑うとハリのある声で言った。
この人がマークおじさんの育ての親。
マークおじさんとそう、年齢が変わらない様に見えるなあ。