奇跡事【完結】
「やっと話す時が来たのかね。
どうしてマークがケーラに結界を張って、隠れるように生きた理由を」
「……」
「だけど、まずは食事だ。カタラ。そんな暗い話、今するんじゃないよ。
折角の食事が不味くなるだろう?」
「……悪い」
「さあ、夜は長いんだ。質問には全て答えるから、今は何も考えずにたくさん食べる事」
「そうだな。お前達にも悪い事をした。楽しい雰囲気に水を差した。
生憎、俺はそういう事に気が回らなくてな」
「それじゃ、カタラの昔話でもしようか。
カタラは小さな頃、幽霊の存在を信じててな」
「ソアレ、それはやめろ」
顎に手を当てて首を捻ったソアレが、そう話し出すとカタラがすぐさま突っ込む。
だけど、ソアレは話を止めようとはしない。
「いいじゃないか。夜な夜な村を抜け出て幽霊を退治しようとした武勇伝だぞ?」
「……武勇伝なわけあるか」
「ははは。この村に幽霊が出たって言ってな。
それを退治しようとカタラは一人で抜け出たんだよ。
だけどその幽霊の正体が実はマークが出していた魔法でさ、暗がりで見た炎だったからそう見えたんだろうって。
その幽霊を見た瞬間、カタラは卒倒しちゃったらしくてね。
マークが小さなカタラを抱きかかえて、困ったように笑ってたよ」
「カタラが!?」
驚いた声をあげるのはサーシャだ。
今のカタラからは想像も出来ない。