奇跡事【完結】


それから、来た道を戻る俺と母親。
その道中、家を出る事を伝えると母親は悲しそうに笑った。


数日かけて家に到着してすぐに家を出る準備を始める俺。
友達にも村を出る事だけ伝えた。
理由は伝えずに。

俺が魔法を使えるって事実は、母親を苦しめる事になるかもしれないから。


父親が死んで悲しんでる暇なんてなかった。
……ゆっくりしてたら悲しみに呑み込まれそうだったから。


家を出る準備を終え、荷物を持った俺は入口で母親と向き合った。
今にも泣きそうな顔をしてる母親は、どうにか笑顔を作ろうとしていた。
それがわかって俺まで悲しくなる。


父親が亡くなってすぐに家を出る事はないんだろうけど。
それでも、俺は妹に会いたかったし、生かされた理由を知りたかった。


眉を下げながら、母親が口を開く。

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