奇跡事【完結】
「ズマーニャはエレノアの何なんだ」
「俺の質問に答えろ」
「……妹を探している」
「妹?」
「ああ、生き別れた妹だ。名前も知らない。だけど、エレノアが連れて行った事だけは覚えている」
「……本当か」
「本当だ」
「そうか。……すまなかった」
ナイフを懐にしまうと、ズマーニャが視線を下げて謝罪した。
それからもう一度俺の顔を見て話し始める。
「エレノア様を狙ってる輩はたくさんいるんだ」
「エレノア様?」
「俺はエレノア様の従者。お前から魔力を感じたから、警戒していた。
だから、あんな事を聞いた。突然、無礼な真似をして悪かった」
「……なら、エレノアに会わせてくれるのか?」
「エレノア様が会うと言えばだが」
「それでもいい。どこにいるか何もわからない俺にとったら聞いてもらえるのは有難い」
「そうか。それなら一緒に行こう。案内する」
「ありがとう。助かる。よろしく。ズマーニャ」
そう言って俺が口角を上げると、初めてズマーニャが微笑んだ。
思ったよりも優しく笑うんだな。