こわれもの

“急な仕事を頼まれた、とか?

私のこと驚かせるために、サプライズでプレゼント用意してくれてる、とか?”

ヒロトがメール返信してこない理由。

待ち合わせ場所に来てくれなかった理由。

それについて、アスカはアレコレと前向きな想像をしてみたが、どれだけ明るいことを考えても、胸をしめつけるジクジクした痛みは消えなかった。


先日アスカが、ヒロトの働くゲームセンターに遊びに行った時のこと。

ヒロトの同僚が、ヒロトに対してアスカの訪問をからかうと、ヒロトは今日の花火大会についてこう言っていた。

『その日だけは、休出(休日出勤)できませんから!

人手足りなくても、呼び出さないで下さいね』

アスカはそれに、ヒロトの愛情や優しさを感じ、幸福を覚えた。

だが、今となっては、それが、ヒロトが良からぬ理由で待ち合わせ場所に来なかったということを、確実なものにしてしまった。

“他の社員さんに休日出勤を断るくらい、ヒロちゃんも今日の花火大会、楽しみにしててくれたよね?

それって、仕事よりも、私と過ごす時間を大切に考えてくれてたってことだよね?

なのに、何で、今日、来てくれなかったの……?”

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