こわれもの
ヒロトと食事が出来てよかった。
妹として見られるのはつらいけど、そんな気持ちもすぐに消えるだろう……。
ヒロトから遠ざかるほどに、アスカは切ないくらいの痛みを覚えた。
短い距離とはいえ、明かりのついた住宅は少なく、帰路は不気味なほど静かだ。
“ほんのちょっとの道のりだけど、やっぱりヒロトさんに送ってもらえばよかったかな?”
こんな時間に、一人で外を出歩くことは少ない。
「アスカっ」
心細くなったアスカの元に、夜闇をさいてヒロトの声が届いた。
ヒロトはアスカのそばまで走ってくると、
「やっぱり送ってく。
こんな時間に女一人で歩くの、マズイだろ」
と、アスカの横にならんだ。
「ありがとう、でも……」
アスカは少しだけ、祖母の目を気にしていた。
「大丈夫。もしばあちゃんに見つかったら、俺もアスカと一緒に怒られるから。
つーか、帰り遅くさせたの俺のせいだし」
そうするのが当然とでも言うように、ヒロトの横顔は頼もしい。
見栄やハッタリで口にしている言葉ではなかった。