こわれもの
たった3分の味気ない道のりも、ヒロトが横にいるというだけで、アスカにとってはひどく貴重なものに感じた。
乾燥した空気。
街灯が少ないせいで、星空がとても綺麗だった。
二人が会話をするたびに、それぞれの口から白いモヤが現れ、空中に消える。
ヒタヒタと、二人分の冷たい足音が響いた。
“もう少し、こうしてヒロトさんと歩いていたいな”
アスカの想いと裏腹に、目の前には自宅が見えてきた。
祖母のいる、やや古めの一軒家。
「ウチ、あそこなんだ。
ありがとう、ヒロトさん」
“もう、ヒロトさんとご飯に行けることはないんだろうな……”
寂しい気持ちを笑顔の下に隠して手を振ると、
「次は昼とか夕方に会おっ!
休み分かったら、教えるし」
ヒロトはそう言い、ケータイを取り出した。
「えっ、でも……」
“私なんかのために、休みのスケジュール教えてくれるの?”
もちろん断る理由などないが、アスカはやはり戸惑った。