こわれもの
アスカを送っていった後、ヒロトは自分のケータイを見た。
久しぶりに、新しい友達が出来たことに胸が高鳴る。
電話帳の登録件数が0に等しい自分のケータイを見て、ヒロトはあたたかい気持ちになった。
彼は昔から、他人と絡むことが好きではなかった。
それというのも、小学生~中学生時代に、人間関係で苦労したからである。
イジメとまではいかないが、彼は気配りの出来る性格が災いし、何かあるたびにクラスメイトから悪事の濡れ衣を着せられたり、友人だったはずの生徒からもいいように利用されてきた。
そんな人間がいても仕方ないと冷めた目を持つ一方で、上辺だけの穏やかな人間関係を作るのが上手くなっていった。
摩擦も起こしたくないし、面倒な事にも深入りしたくない。
社会人になった今も、その思考は変わらない。
適当に仕事をし、適当に同僚と付き合う日々。
2年前に失恋してから、女っ気もなかった。
不満も満足も感じない渇いた日常の中で、ヒロトはアスカと出会ったのである。