こわれもの
アスカは、面白くない気分で玄関の扉を開け、外に出た。
“あーあ。せっかくヒロトさんと遊んでいい気分だったのに、おばあちゃんのせいで台なし!”
祖母なりに、孫を心配しての発言だということは、アスカも理解している。
けれど、それを素直に聞き入れられるほど、アスカは無垢(むく)になれなかった。
“お母さんは、口で言うほど私のことなんて心配してないよ”
母が再婚した時、アスカはこう感じた。
母は自分のことなど必要としていない、だからこそ、アスカの知らない男性と再婚したのだ、と……。
今でも、その気持ちは変わらない。
母が再婚した当時、アスカは思春期だったのもあり、義理の父になった他人と一緒には住みたくなくて、逃げるように祖母の家に引っ越し、母と離れて住むことにしたのだった。
“血のつながった親子は一緒に住まなきゃならない?
そんな法律があるわけじゃないし、別居したって別にいいじゃん。
だいたい、年頃の孫を他人の男と住まわせようとするおばあちゃんも、無神経すぎる!!”
半ばムシャクシャした気持ちで、アスカは駅に着いた。
雑然としたホームで時間つぶしにケータイを見ようとすると、ヒロトからメールが返ってきているのに気付く。
《なら、よかった。
もし悩みとかグチがあったら、我慢せずに言えよ。
人生の先輩として、多少なら相談乗れるし!》
祖母との会話を忘れさせてくれるヒロトのメールに、アスカはホッとした。