こわれもの
心から嫌い合うような関係ではないはず。
けれど、マツリと顔を合わせるとどうも、アスカはケンカ腰になってしまう。
キョウを含む、仲良しメンバーの一員であるはずなのに、マツリはアスカにだけ意地悪なのだ。
アスカは、マツリのからかいから逃げるようにケータイを開いた。
「どーせ、ヒロトってヤツからメール来て浮かれてたんだろー?」
彼はからかうように言い、アスカのケータイをのぞき見る。
ニンニクくさいと笑ったクセに、彼はアスカの方に顔を近付け、彼女のケータイを見ようとした。
「のぞくな!
アンタには関係ないっ」
「……そいつと焼肉行ったんだろ?」
「なんで分かるの!?」
「やっぱりなー。
下心ある男は、狙った女をまず、焼肉屋に連れて行きたがるんだってテレビで言ってたし。
ヒロトってヤツも、怪しいなぁ」
アスカは眉をつりあげた。
「アンタにヒロトさんの何が分かるの?
テレビの情報に惑わされてるヤツに、好き勝手言われたくない!」
「親切で言ってやってんじゃん。
5個も年上の男が、お前みたいなガキ相手にするわけないって。
適当に遊ばれる前に、早く諦めたら?」
「諦めるも何も、別にヒロトさんのこと好きでも何でもないし!」
アスカは普段以上にムキになり、強く言った。
「アンタみたいなバカには分からないだろうけど、ヒロトさんはすっごくいい人なんだから。
好きレベルじゃ済まない、尊敬に値する人なの!」
言った直後、アスカは恥ずかしさで頬を紅潮させた。
さすがに褒めすぎだろうか?
アスカの熱弁に驚いたようで、ニヒルな笑いを浮かべていたマツリも、目を丸くしている。