こわれもの
震える両手を机の下に隠し、アスカはうなずいた。
「……そうだね。
いきなり訊くと変に思われそうだから、さりげなく訊けそうな雰囲気になったら」
ヒロトに彼女がいる。
しかも、その相手は旦那と子供のいる女性かもしれない。
“そうだとしたら、ヒロトさんが私のことを妹扱いしてきたのも、うなずける……”
ヒロトに恋人がいるのかどうか。
それを考えてしまう時点で、もう、アスカの感情は友達の線を越えている。
午後から行われた授業の内容も、全く頭に入らない。
それくらいアスカは、思いつめていた。
ヒロトのことを考えるだけで、重くて暗い気持ちに苛まれる。
“こんなのもう、立派な「好き」だよね。
ヒロトさんのこと、お兄さんじゃなく男の人として見てる……”
放課後になってようやく、自分の素直な気持ちに気付いたアスカであった。