『若恋』若恋編
『あっははっは!
壊れやがった!』
高笑いが鼓膜をつんざく。
『やあああっ!』
『りお!』
『さわ、らないでっ!』
抱き締める腕を全身全霊で拒む。
人形の瞳は俺をもう映さない。
『やあああっ!奏さん!』
助けを呼ぶ声は俺の名。
『りおっ!』
『や、わたしに触らないでっ!』
『りおっ!』
『助けて!奏さんっ!』
『俺だ!!』
『やあっ!助けてっ!奏さんっ!』
りおの濡れた瞳は俺を映さない。
無茶苦茶に暴れて手足を振り回すだけ。
『大神。壊れた人形を抱いた感想はどうだ』
『てめえっ!』
『大神、愉快だな。なんだこのざまは。
天下の大神が女ひとりも守れやしねえなんて笑えるぜ』
『―――殺す』
てめえを殺す。
歯噛みした。
生かしてはおけない。
『殺すっ!』