純粋に狂おしく愛してる ｰ君が私を監禁した理由（ワケ）ｰ

　桐生さんはお父さんの言葉を聞き、そっと頭をあげた。私に背を向けているため、桐生さんが今、どんな表情をしているのかまでは分からない。

　でも、なんとなく車の中にいたままではいけない気がして、私は車からおりて桐生さんの横に立った。

　お父さんは私の顔を一瞬だけ見てから、桐生さんの顔を見つめ、そして頭を下げながらこう言った。


「どうか、里桜を……娘を……幸せにしてやってほしい」


「……！」


　まさか、お父さんの口からそんな言葉が出てくるとは思わなくて、私と桐生さんは驚いて同時に顔を見合わせた。


「里桜は君を好いている。もちろん、強制ではない。君がよければ、の話なのだが……」


　桐生さんは申し訳なさそうに眉を下げながら、もう１度、お父さんと向き合った。


「実は……今日、ここへ来たのは、謝罪の他にもう１つ言いたいことがあったからなんです」

「なに……？」


　もう１つ……？なんだろう……？考えてみたけれど、それらしい答えは思い浮かばない。


「お父さん！娘さんと……里桜さんと結婚を前提にお付き合いさせてください！……って、謝罪の後にタイミングが合えば、言おうと思っていました」

「？！」


　えっ？！