純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
 一夜さんは人一倍……いや、おそらくそれ以上に嫉妬深いだろう。

 だから私は、いざという時もあってか、一夜さんに盗聴器を持たされている。でも私は、それ自体は嫌じゃない。

 むしろ、外は危険だからこの部屋からださないと言っていた5年前のことを考えると、かなり成長した方だと思う。

 部屋から一歩も出してくれなかった……出してくれるにしても強めの条件があった5年前に比べたら、盗聴器を持たせながらもこうして自由に街を歩かせてくれるのは、本当に進歩してくれた方だと、私は思う。


「あっ、信号、青に変わりましたよ」

「ああ」


 昨日も一昨日もその前の日も、一夜さんがこうして会社まで送ってくれるので、会社の中ではちょっとした騒ぎになっている。

 「あのカッコイイ彼、だれ?」って、早苗にしつこく問い詰められたっけ。

 私は一夜さんとの経由をすべて話したら、やっぱり犯罪者と被害者という立場に驚いていたけれど、最後には「おめでとう」って言って祝福してくれたんだっけ。

 ……一夜さんがカッコイイって、女の子達の間でちょっとした騒ぎになっているのは、聞いていてあまり面白くはないけれど。


「ほら、もう少しでつくぞ」

「あっ、はい!今日も送ってくださってありがとうございました」

「気にするな。里桜が変な目に遭わないために、当然のことをしたまでなんだから」

「ふふふっ」
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