純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
 片手でハンドルを操作しながら、もう片方の手で頭をくしゃくしゃと撫でられた。それがとても心地好くて、思わず目をつむる。


「仕事終わったら連絡しろよ。迎えに行くから」

「分かっていますって」


 嫉妬深い一夜さんは、また人一倍か、それ以上に心配性でもある。嫉妬してくれるのも心配してくれるのも嬉しいので、それはそれで心地好いのだが。


 ――そして、私は知っている。

 世間での“一般的”な恋人が、「何があってもすぐに分かるように」なんて、恋人に盗聴器なんてモノを持たせないことを。

 さっきも言ったけれど、私からすればこの行いは一夜さんにしてみれば成長した方で、とても嬉しく思うのだ。

 ……でも、いくら一夜さんの望みとはいえ、盗聴器を喜んで持ち歩く彼女……って、世間的に見ればやっぱり頭のおかしい人、だよね。

 一夜さんが罪を償い、前向きに生きるように変わったように、私もこの5年間で色々と変わったのだろう。

 ……別にいいんだ。世間のみんなに、私が頭のおかしい人だって思われていても。別にいいんだ。
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