ONLOOKER Ⅳ
※
「出演依頼!?」
貴重すぎる困惑した表情で夏生が言ったのは、映画研究部からの依頼の件だった。
ここ、私立悠綺高等学校の生徒会は、表向きは生徒会業務や行事の実行委員、裏では校内のトラブルシューターを担うという、あまりにも特殊な集団だ。
理事長である綺村悠子の思い付きで始めたこれが、今ではある意味大きな抑止力というか、ストッパー代わりになっている。
校内で名も顔も知れた有名人が集まる集団、言ってしまえば全ての意味で悠綺高校のトップだ。
それは外見や中身や本人の実力だけの話ではなく、家柄や権力に関してもだった。
つまり、生徒会に目を付けられれば、学園に残ってはいられない。
人気投票のような決め方をした生徒会役員選挙が、この面に限っては効果覿面なのだ。
そんなわけで、校内での問題に限って、どんな依頼でも随時募集、ということになっていたわけだが。
この度映画研究部から来た依頼が、あまりに特殊なものだったわけだ。