ONLOOKER Ⅳ



「どういうことですか?」
「来月、『全国高校映画祭』っていうイベントがあるんだって」
「……もしかして、その映画祭に出品する映画に、出てほしいってことですか?」
「そう。悠綺高校のプロモーションも兼ねて、って話だけど」
「それって……いいのか? 私や夏生や直姫はともかく、真琴たちはプロだろう。高校生の自主制作映画に、そこまで」
「そーっスよね、事務所からオッケー出ないんじゃね?」
「そこだよ」

そう苦い顔をして、夏生は一枚の紙を取り出した。

悠綺高校の校章が透かし模様で入った、上質の紙。
これは学校側、主に、理事長から直々に出された文書であるという、しるしだ。
この便箋が使われているということは、そこに書いてある事柄は、生徒会にとっては絶対ということと等しい。

『生徒会諸君、映画研究部諸君へ。映画祭、頑張ってくださいね。』
そんなメッセージが、理事長のサインと判と共に、書かれていた。

「理事長命令。悠綺高校の来年度の受験者数は、君たちにかかっている──だって」
「まじかよ……」

色んな所とどう話をつけたのかは定かでない、というか想像するだけ無駄なことだが、彼女がこう言うからには、やらないわけにはいかなくなってしまった、ということだった。


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