ONLOOKER Ⅳ

そんなこんなで、初夏




「きゃあああぁぁぁぁぁぁああぁぁぁ!!」



私立悠綺高等学校、北校舎二階。
そこに少女の悲鳴が響き渡ったのは、ある夜のことだった。

他の六人が慌てて駆け付けると、部屋の入り口で、華奢な女子生徒が座り込んでいる。
くるりと跳ねる癖っ毛は今は真っ青な顔を隠し、俯いたまま、震える腕で指差すのは──。

「先生が」

六人は、背筋が凍り付くような嫌な予感の中で、ゆっくりと、本当にゆっくりと顔を上げた。

見慣れた、ほの暗い赤い髪。
同じように真っ赤な液体が、床に零れている。
雨の日、傘を壁に立て掛けた時のような、静かな広がり方だ。

「せんっ、」

グレーのワイシャツにも、点々と。
その男は、倒れたまま、動かなかった。

「せい、が、」

彼らは、見た。
冷たい部屋の中だった。
悲鳴を上げた少女が、再び、声を

「死んでるにょろーーー!!」




上げた瞬間に、怒声が飛んだ。

「カァットォォォ!! Ino語禁止ィ!!」

抑えられていた照明が解放され、辺りが一気に明るくなる。
眩しそうに目を細める面々の中で、“遺体”が起き上がって口を開いた。



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