ONLOOKER Ⅳ
「おい、いつまでこうしてりゃいいんだよ」
「すみません竹河先生、もう少しお願いします。休憩にしましょうか?」
「そうしてくれ、床に寝っぱなしじゃ身体中痛くてたまんねぇよ」
「じゃあ一旦休憩入りまーす!」
「ったく……なんで俺がこんなこと」
どこかやるせないような表情を浮かべる居吹の隣に、前髪を上げた准乃介と、落ち着いた茶髪の聖が屈み込む。
血糊が珍しいのか、紅はしげしげと居吹の手のひらを観察しはじめた。
ゆるめに巻かれた毛先が血糊に付きそうになって、慌てて髪を押さえた。
「せんせー死体役すっげ似合ってますよ!」
「こんなスタイリッシュな死体見たことないよねぇ」
「居吹先生が幽霊になったら、怖そうだ……」
「お前らぁ……おい真琴、大人に敬意の払えない先輩たちになんか言ってやれ」
ちょうど通りかかった、赤いパーカーを着た真琴に、居吹が声をかける。
いつもならばこんな無茶振りには焦って困惑するだけの彼だが、今日は、違った。