ONLOOKER Ⅳ


少し居心地が悪そうにしていた紅が、話を逸らそうとしてか、言った。

「それより、准乃介にはびっくりしたよ。演技、上手かったんだな、お前」
「あは……俺、一応、俳優」
「真逆っスもんねぇ、目つきとかマジ凶悪!」
「新境地じゃにゃい。俺様属性のファンも獲得にょろね!」
「あ、でもさー、もし紅先輩が演技できて、正反対のキャラ演じてたら」

聖が楽しそうに言う。
彼はこういう、例え話の類いが大好きなのだ。

「どうなってると思う?」
「んー……ガサツ、下品、ビビり?」
「あ、ないわ。いくらなんでもない」
「直ちゃんだったらー? えっとぉ、明るくてー」
「元気で」
「なんでも一生懸命」
「……ただのいい奴じゃん!」
「失礼ですね、それ」




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