ONLOOKER Ⅳ



「……確かに、マサトの言う通りだな」
「ナツ、こんなのもうやめようよぅ……朝になったら誰か来てくれるんだから、そしたら警察に任せて」
「……だめだ、ヨリちゃん」

朝まで大人しくしているのが一番だ、と主張するヨリコに、コウキが言った。
ただでさえ色白なのに、さらに青白くなっている。
映画や深夜のホラードラマで見る、亡霊のようだった。

「そうなったら……警察は誰を疑うと思う?」

コウキの言わんとしていることに、全員が気付く。
竹田が死んだ時間に、北校舎に間違いなくいた人物。
映研部の部室に、怪しまれずに出入りできる人物。
そして、竹田を殴る動機があった人物。

「真っ先に疑われるのは……僕らのうちの誰かだよ」
「そんな……」
「もしかしたら、全員共犯だと思われるかも」
「そんなこと……でも、」

信じられない、というように呟くナオの肩に、マサトが静かに手を置いた。



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