ONLOOKER Ⅳ



「これで、少なくとも今は、僕たち以外には誰もいないってことがわかったわけだけど」
「……これってむしろ、わかんなくなったんじゃないですか?」

マサトが、全く表情を変えずに言った。

「特に――誰が竹田先生を殺したのか、が」

『殺した』。
その言葉が出るだけで、彼らの間に緊張が走る。
考えないようにしてきたのだ。

花瓶の様子から、シュンは、竹田は人の手で殴られたはずだと言った。
結果、竹田は死んでいる。
これは、殺人事件なのだ。

誰かが竹田を殺したということ。
竹田を殺した誰かが、いるということ。
当たり前のことだが、できれば、そんなことは考えたくなかった。



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