ONLOOKER Ⅳ



「……ねぇ、それって」

ヨリコが、青ざめた顔で呟いた。
絶望だけではない。
現実味のある恐怖に、強張った表情。

「見つかったら、疑われるのは間違いなく私たち、なのよね」
「……? うん、そりゃ、そうなるだろうな」
「でも……でもね、もし、殺人と出入り口を塞いだ犯人が別だったら……。誰かが私たちに罪を着せようとしたんじゃ、ないとしたら」

胸の前で、自分を守るように、手をぎゅっと握った。

「竹田先生を殺した犯人、私たちの中にいるってことも、考えられない……!?」

それは、気付いていたけれど気付きたくなかった、わかっていたけれど知りたくなかった、最悪の可能性だった。


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