ONLOOKER Ⅳ
長い沈黙だった。
それぞれが胸の内で何を考えていたのかは、自分自身にしかわからない。
それでもなんとなく、皆考えていることはだいたい同じだろうという、確信めいたものもあった。
誰が言い出すか、探り合っているような状況。
口火を切ったのは、マサトだった。
「撮影の間、たぶん全員が一回くらいは一人きりになってるはずですよね」
待っていたのは、こういうことだった。
いわゆる“アリバイ”のない時間が存在する人物が、この中に多数いることに、誰もが気付いていた。
つまり、この中の誰かが犯人になり得たということ。
容疑者候補は、全員なのだ。
視線は、ナツへ向いた。
ナツは、一度ため息を吐いてから、渋々口を開く。
「……皆、一人になった時に何してたか、話してくれない?」
部活仲間のよしみ、なんて言っている場合ではないと、いくら箱入りのご子息ご令嬢でも、わかっていた。
信じてばかり、いられないのだ。