ONLOOKER Ⅳ


これで、一年生の二人と、二年生の三人からは話を聞いた。
それぞれに少しではあるが、確かに一人になる時間はあったようだ。
マサトとナツの視線は、残る二人に向く。

「ユカリ先輩は?」
「わ、私は……部室で、衣装の丈詰めとか、ボタン直したりとか」
「あ、あの、私たちが部室に行った時も、ユカリ先輩、いたよ……?」

小さな声で、ヨリコが言う。
映画研究部は全部で七人と規模が小さいため、部室は二階のあの部屋が一室与えられているのみだ。
大道具や機材で雑然としている中、一角を壁で仕切って、共有の更衣スペースにしてある。
入り口の扉を開ければすぐに、窓際に座って作業しているユカリの姿が目に入るはずだ。



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