ONLOOKER Ⅳ


普段の姿から軽音楽部あたりだろうか、でも球技が好きと言っていたからバスケ部あたりもあり得るかも、などと予想して、真琴は尋ねた。
しかし聖は無表情に近い微笑みでもって、答える。

「フラッシュ暗算部」
「は、はい?」
「いやだから、フラッシュ暗算部。」
「聖はな……計算がすごく速いんだ」

真剣に言う紅に、真琴はぬるく笑って言った。

「い…………色んな部活があるんですね……」
「説明しよう! 的なのいらない? フラッシュ暗算とは……ってやつ」
「いらないでしょー」
「ひじりんは山ちゃんにゃの?」
「恋宵ちゃんヤッター○ンとか知ってんの?」

聖の意外な特技と悠綺高校での部活動立ち上げの容易さが発覚しただけで、あとは恋宵がやはり軽音楽部だとか、紅が合気道や槍術同好会や薙刀部に部員ではなく特別顧問として出入りしている理由だとか、夏生が結局帰宅部になった経緯だとか、そんな話に終始していた。
そんな話に終始する程度には、退屈だったのだ。
遮られることのない話題は自然と、残る彼女に振られる。



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