ONLOOKER Ⅳ


口調も態度も粗野で乱暴なシュンは、悠綺高校には数少ないタイプの人間だ。
この映研部へ誘ったのはナツだが、正直いって、一人だけ浮いている存在である。
部室では、部員たち、特にナオやヨリコとはほとんど言葉を交わさず、ただ黙々と機材や大道具の手入れをしている。
ユカリが話しかける姿は時々見るが、仲が良いのかどうかは、微妙なところだ。

なにせ石神ユカリといえば、校内ならまず間違いなく知らない人はいない、華道の家元の令嬢。
その道でのトップ、といえば簡単だが、つまるところ、日本を代表する名家のお嬢様、ということだ。
シュンのようなタイプの人間とは、本来ならば接点がないに等しい。

不思議な関係の二人、といえば聞こえは悪くないが、要するに、一緒にいるのが不自然な二人、ということなのだ。



< 60 / 138 >

この作品をシェア

pagetop