ONLOOKER Ⅳ
それが、ユカリの告白だった。
竹田教諭の死亡に、殺意は絡んでいなかったのだ。
それどころか、深窓の令嬢を絵に描いたようなユカリが、抵抗する必要に駆られたくらいだ。
彼女がカーディガンを捲った細い両腕には、手の形をした真っ赤な痣が、未だくっきりと残っていた。
シュンが一番痛そうに、目を逸らす。
立証されるかはともかくとして、正当防衛は十分に主張できるだろう。
殺人事件ではなかったのだ。
シュンはやるせなく頭を抱えているが、その事実に彼らは、安堵の表情を浮かべた。
かのように、思えた。
コウキが、小さく声をあげる。
「……ナオ?」