ONLOOKER Ⅳ
手に付いた血や床を少し拭いて、慌てて部室を出ると、ちょうどシュンが戻ってくるところだった。
今思えば、この時にすぐにシュンに言って、外に連絡するなり救急車を呼ぶなりしていれば、こんなことにはならなかったのかもしれない。
けれど、思わずシュンをそこから遠ざけてしまったのだ。
忘れ物だとか適当に理由をつけて、二人で連れ立って三階の教室へ向かった。
シュンは訝しげな顔を見せたが、何も聞かずにいてくれた。
それからは本当にずっと教室にいたが、いつシュンが部室に戻ろうと言い出すか気が気じゃなくて、何を話していたかはほとんど覚えていない。