ONLOOKER Ⅳ


そうだ。
映研部の中に竹田を殺した人物がいるのではないか、ということがこんなに問題になったのも、外に出ることができなくなったせいだった。
助けも呼べない、出られない、入っても来れない。
つまり、もしかしたらこの中に犯人がいるのかもしれない。
この異様な状況下でそんな考えに支配されたために、まるで殺人犯探しのようなことをする羽目になったのだ。

この二つの出来事に関しては、二つの可能性しかないと、ナツは言った。
つまり、竹田を殺したのと校舎封鎖は同一人物によるものか、別人によるのか、ということだ。
この点に関して真っ先に言ったのは、シュンだった。

「ユカリとナオにわざわざ出入り口塞ぐ理由はねぇだろ。俺だったら誰でも出入りできるようにしとくし、少なくとも自分だけでも外に出るよ」
「そうですよね。その方が自分が疑われずに済む。……ナツ先輩が中庭から戻ったのって」

6時55分、と、ナツが答える。
それは、ナオが竹田を殴ってマサトたちのところへ戻ってきた時刻でもあった。
思えば竹田の死体を発見した時、真っ先に部室を飛び出したのはヨリコと、ナオだった。
ユカリもすぐに外に出ている。
自分が殺したと思った死体を、見たくなかったのだろうか。



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