ONLOOKER Ⅳ
「僕と間違われて……?」
「……っおい、下手したら、ユカリが殺されてたかもしれねぇのかよ」
シュンの低い声に、ナオはびくりと肩を震わせる。
「、じゃあっ……」と、縋るように先輩たちの顔を見る。
「ユカリ先輩は、正当防衛になりますよね?」
「ねぇ、ナオくんは……? ナオくんは、殴ったけど殺してないんだよ? 傷害じゃないの?」
泣き腫らしたヨリコの鼻声に、確信を持って頷ける者はない。
どれだけ竹田が人間として最低だったとしても、殺してしまったのは事実なのだ。
酌量の余地はあるだろうが、それ自体は消せることでは決してない。
「…………あの。ちょっと、いいですか」
と、その時、マサトが、言葉を挟んだ。
普段通りの冷静で抑揚のない話し方だが、わずかに眉が潜められている。
「竹田先生の死は、不慮のものだったとして。……じゃあ、校舎の封鎖は、誰が?」