ONLOOKER Ⅳ


そんなやりとりをしている最中、優雅に脚を組んでパソコンを眺めていた夏生の表情が曇った。
何か考え込むように頬杖を突いて、すぐにその手を机の一番上の引き出しに持って行く。
保留の書類や生徒会宛ての郵便物が、まとめて突っ込まれている場所だ。
その中から目当てのものらしい封筒を探し当てると、差出人を確認し、すぐに封を切って、中身に素早く目を通す。
頬杖を突いてからのその間二分ほど、誰も夏生の変化には気付かなかった。

「ねぇ」

そして、やばい直姫と話してるとこっちまでやる気なくなりそう、なんて言っている聖の頭をぐりっと押し退けて、思いきり渋い顔を見せる。
外では鉄壁防御の笑顔を浮かべ続ける彼だが、他の生徒が見ていない時と、この生徒会室にいる時だけは、意外にその表情は豊富だ(わかりやすいとは、決して言えないが)。




< 9 / 138 >

この作品をシェア

pagetop