ONLOOKER Ⅳ


マサトとシュンがコウキを疑うのも、もっともなことだ。
彼ならば、撮影が終わり、電話が来たから先に戻っていてくれと言って一階に留まった一瞬、渡り廊下のシャッターを降ろすことができたはずだ。
しかしこの考えには、重大な見落としがある。
それを、ナツが指摘した。

「コウキが一人になったのなんて、撮影が終わってから僕らが部室に戻って竹田先生を見つけるまでの、ほんの10分程度ですよ? その間に出入り口を全部封鎖するなんて、無理に決まってる」

もしコウキが犯人ならば、部員が全員少なくとも二階に上がりきったのを確認してから、行動しなければいけない。
シャッターの昇降音が聞こえては、すぐに気付かれてしまうからだ。
実際に彼が使えた時間なんて、部員たちが三階まで上っていた5分程度しかないだろう。
東側の渡り廊下のシャッターを下ろして玄関に向かい、外に出て鍵をかけて、中庭を移動して西校舎の玄関から中に入って、渡り廊下から北校舎に戻り、北校舎西側のシャッターを降ろして、また東側に戻り、ヨリコの悲鳴を聞いて、階段を駆け上がる。
その5分ほどの間でこれを行うのは、確実に不可能と言い切ってよかった。
何しろ広大な悠綺高校だ。
たった5分では、中庭を横切るところまでいけるかどうかも怪しい。



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