うさぎ と くま の物語 (完)
 

「そう!そうなの!もう、ウザいし!クマ太郎、あれどうにかしてよ!」


梨乃センパイは思い出したように、プンプンと怒り出す。


「………その呼び方変えたら、考えるよ」


「え~…あ、じゃあ、昔みたいに“こうちゃん”って呼んであげようか?」


ニヤッと楽しそうに笑う梨乃センパイ。


昔みたいに…?


そんな風に呼び合うほど、二人は前から仲がいいの…?


そんなの………


私なんかが入る隙間、ますますないよ…。


「―――その呼び方も、やめてくれ…」


篠田センパイは動揺したような、照れてるような表情。


…そんな顔、初めて見た。


相手が梨乃センパイ、だから…?


「うさぎっ。ほら、“こうちゃん”って呼んであげて?」


「えっ!?」


梨乃センパイからの急なフリに、私は焦った。


よ、呼べるはずない!

 
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