★恋と王子と超能力!★
どうしよう、誰か来た!

私は思考回路が停止してしまい、体が動かない。

すると、誰かにぐいっと腕をひっぱられた。

翔馬Side

「ったく、どこいったんだよあいつ!」

俺は例の可愛い子を見失い、半ば諦めながら校舎中を駆け回っていた。

そんなとき

「あんた、こんな所でなにしてるの?」

見つかったと思ったが、それは俺に向けられた言葉じゃなかった。

左側の壁から、そちらをそっとのぞくと…

「…いた」

顔は良く見えないが、声からして男とはなしてるんだろう。

「あんた“パイロキネシスト”ね」

ぱ、ぱいろ…なんだって??

俺は聞きなれない言葉を耳にして、かなり混乱していた。

しばらくやり取りを見ていると、男の左手から炎があがった。

「!!?」

な、何者だこいつら…

そう思っていると、真っ赤な炎が少女めがけて飛んで行く…

ーー危ない!!

喉から言葉が出かけたそのとき

「私の敵じゃないな」

そう言い放った瞬間、真っ赤な炎は煙のように消え、ほぼ同時に男も倒れてしまった。

こいつ、強い…。

そんなことを思っていると

…誰か来た!!真っ直ぐこっちに向かっている。

少女に目をやると、見事にフリーズしていた。

とっさに俺はそいつの腕を引っ張った。
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