チョコレート
「なにか聞きたいこととか無い?」

聞きたいこと…今の私には1つしかない。
聞きたいのに、肺が上手く酸素をくれない。

私はただ首を横に振った。

「そっか。」
宮本先生は素っ気なく言うと、それ以上は何も話さなかった。

長い長い沈黙。駐車場は徐々に近づいてきた。

駐車場は一本裏道に入った所にあり、辺りは既に真っ暗だった。
真っ暗な中で宮本先生の煙草の火だけが明るさを持ち続けていた。彼の表情は見えない。きっと私の表情も。

「僕の車これだから…今日は付き合わせて悪かったね。」
聞くなら今しかない。
< 21 / 28 >

この作品をシェア

pagetop