HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-
 学校でもいつも隣に座っているが、こうして机のスペースがない隣の席というのはまた違った緊張感があっていい。

 問題を考えている間、舞はうつむいたり、意味なく眉間に皺を寄せたり、思ったより目まぐるしく表情を変えるので見ていると暇しない。

 眼鏡の間から見える切れ長の目が、恐ろしく綺麗だった。睫毛も長くてそれが上向きにカールしている。

 たぶん睫毛が長いせいでフレームの形を選ぶのだろう。今でも睫毛がレンズにぶつかりそうだ。

 それにしてももう少しマシなデザインのフレームだってあるだろうに、とお節介にも思う。

 だが、これはこれで舞らしいとも思う。自分をかわいく見せようとか、男子にアピールしようとか、そんな気は全くないのだろう。

 ――でも小学生のときはそこまででもなかった気がするな……。

 いくら記憶力に自信のある俺とはいえ、小学生の頃のことはかなりおぼろげにしか覚えていない。

 それでも今ここにいる舞と幼い頃の舞が同一人物だと信じるには、違和感がありすぎる。



 ――どうしてだろう?



 思い切って聞いてみたい気持ちもあるのだが、それはなぜか強く躊躇われた。

 それにまず、俺自身が舞のことをほとんど何も知らないのだ。

 ――物事は順番に進めていかないとな。

 キリのいいところで勉強は切り上げて、昼食に誘った。勉強はいわば前菜だから、早くメインディッシュに行かないと舞にも悪いからね。
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