HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-
放課後、教室の前に英理子さんが立っていた。私を待っていてくれたようだ。英理子さんの姿を見て私はなぜかとても安心する。
先日と同じように駅までの道を英理子さんの話を聞きながら歩いた。英理子さんの話も私にとってはほとんどBGM状態だったけれど……
「……ちゃん? 舞ちゃん!」
「はい?」
――うわっ! 前から自転車!!
狭い歩道のド真ん中をボケッと歩いていた。英理子さんに声を掛けられなかったら手前の角から曲がってきた自転車に激突するところだった。危ない、危ない……
「何考えてたの?」
英理子さんが私の顔を覗き込むように見ながら尋ねてきた。
「え……、あの、いまどきケータイ持ってないって変?」
「変ということはないけど、持っている人が多いのは確かよね。私も持ってるし」
英理子さんは私に気を遣うように言葉を選んで答えてくれた。
私がケータイを持っていないのは必要がないからというのが一番の理由だけど、それはつまり持っていても電話やメールが来ないということを意味する。なんと寂しいことか。自分には連絡を必要とする友達すらいないということらしい。悲しいけどそれが事実だった。
「私、連絡を取るような友達がいないの」
情けないけど私は白状した。英理子さんはとても真面目な顔で私を見た。
「それは今までの話でしょ? 舞ちゃんの相談相手、私じゃダメかな?」
ダメ、なんてことがあるわけがない。
「……いいの?」
「舞ちゃんこそ、後で後悔しても知らないけどね」
と、英理子さんはありえないことを言って笑った。
「それで、舞ちゃんは何を悩んでいるの?」
やっぱりバレてるよね。今日の私は明らかに挙動不審人物だし。私は一つ深呼吸して、思い切って英理子さんに疑問をぶつけてみた。
「英理子さんは遠藤さんのどういうところを好きになったの?」
英理子さんは私の顔をじいっと見る。そして小首を傾げた。
先日と同じように駅までの道を英理子さんの話を聞きながら歩いた。英理子さんの話も私にとってはほとんどBGM状態だったけれど……
「……ちゃん? 舞ちゃん!」
「はい?」
――うわっ! 前から自転車!!
狭い歩道のド真ん中をボケッと歩いていた。英理子さんに声を掛けられなかったら手前の角から曲がってきた自転車に激突するところだった。危ない、危ない……
「何考えてたの?」
英理子さんが私の顔を覗き込むように見ながら尋ねてきた。
「え……、あの、いまどきケータイ持ってないって変?」
「変ということはないけど、持っている人が多いのは確かよね。私も持ってるし」
英理子さんは私に気を遣うように言葉を選んで答えてくれた。
私がケータイを持っていないのは必要がないからというのが一番の理由だけど、それはつまり持っていても電話やメールが来ないということを意味する。なんと寂しいことか。自分には連絡を必要とする友達すらいないということらしい。悲しいけどそれが事実だった。
「私、連絡を取るような友達がいないの」
情けないけど私は白状した。英理子さんはとても真面目な顔で私を見た。
「それは今までの話でしょ? 舞ちゃんの相談相手、私じゃダメかな?」
ダメ、なんてことがあるわけがない。
「……いいの?」
「舞ちゃんこそ、後で後悔しても知らないけどね」
と、英理子さんはありえないことを言って笑った。
「それで、舞ちゃんは何を悩んでいるの?」
やっぱりバレてるよね。今日の私は明らかに挙動不審人物だし。私は一つ深呼吸して、思い切って英理子さんに疑問をぶつけてみた。
「英理子さんは遠藤さんのどういうところを好きになったの?」
英理子さんは私の顔をじいっと見る。そして小首を傾げた。