御曹司なんてお断りっ◆



急いで身支度を整えて
いつものように、
少し朝ごはんと、お茶を飲んで
いつものヒールに足を押し込んで玄関を後にする。


夜勤の仕事から帰ってきた建志とすれ違ったのは
玄関を出たところだった。

「おはよう。志保。
 今から仕事?送ろうか?」

「建志、おかえり。
 仕事明けできついでしょ?電車で行くよ。」


「--ふぅーん。
 

 俺の、アリバイあんまり役に立たなかった?」

建志が悲しそうに、目を伏せた。

「そ・・そんなことないよ。
 ちゃんと、朝帰りに気づかれ無かったし。

 あ。お母さんが今、朝食中だよ?」


「んーー。わかった。

 じゃぁ、今日、迎えに行くよ。
 仕事終わったら会社の前で待ってて?」


「え?」

振り返るころには建志はもうすでに家の中に
ただいまーといって消えて行った。


やだなぁ。建志ってこういうこと
鋭いんだからーーー


志保は、またため息をつきながら、家を後にした。

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